検索
綴り/河合悠さんの蝋燭
- 6月22日
- 読了時間: 2分


いろいろな蝋燭があるけれど、結局いつも、シンプルな白い蝋燭に戻ってしまうのだと悠さんは言います。
色鮮やかなものも、美しい装飾が施されたものもあるけれど、白い蝋燭には余計なものがありません。
だからこそ見えてくるものがある。
それは、炎です。
この蝋燭の主役は、蝋ではなく火。
蝋燭を灯すということは、火と向き合う時間をつくることなのだと思います。
静かに揺れる炎を見つめていると、不思議と呼吸が深くなり、少し前まで頭の中を占めていた考えごとが、ゆっくりとほどけていきます。
私たちは日々、たくさんの情報の中で暮らしています。
次々と流れてくるニュースやSNS、気づけば手のひらの中の小さな画面に意識を向け、
何かを知り、何かを判断し、何かを追いかけながら過ごしています。
便利になった反面、心も体も、いつの間にか急かされているのかもしれません。
そんなとき、たった一本の蝋燭を灯してみる。
火を見つめる。
ただそれだけのことなのに、自分がどれだけ速く歩いていたのかに気づかされます。
炎は何かを教えてくれるわけではありません。
けれど、絶えず外へ向いていた意識を、静かに自分の内側へと戻してくれる。
それが蝋燭の灯りの持つ力なのだと思います。
今日のような雨の日はなおさらです。
窓を打つ雨音を聞きながら、ゆっくりお茶を淹れて、ただ火を眺める。
そんな時間もまた、暮らしの中に必要な余白なのかもしれません。
急がなくてもいい日。
少し立ち止まってもいい日。
雨と炎が、「今日はゆっくりしましょう」とそっと語りかけてくれているような気がします。


コメント